The Repeater

「TheRepeater」
お客様への接し方、対応の仕方で、リピーター(固定客)になっていただけるのかどうかが大きく左右される。では、お客様にリピーターになっていただけるような接客対応のあり方とはどういったものなのか?お客様に直接応対する我々として、どのようにしたらリピーターをふやしていく事が出来るのか?答えが一言でまとまるわけが無いこの問いに、ファシリテーションを用いて切り込む講座が先般静岡で開催された。

2月11日(月)静岡県産業経済会館
テーマ「The Repeater~お客様との関係をどう育てていくか~」
ファシリテーター 田崎哲也(以下まろさん)/妹尾一志(以下せのちゃん)
主催 静岡ファシリテーション研究会

二人のファシリテーターを中心に、18名の参加者、そして7名のオブザーバーを配置してすすめられた。例月の研究会と違い、初参加、或いはスポット参加の方も何名かいらっしゃるけど、多くの皆さんは過去にコーチングやファシリテーションに触れた事がある様子。初対面同士の硬さや緊張感も早い時間帯で解消できる予感の中、早速始まる自己紹介。

「時間は20分間」
「立って行う」
「ニックネームの由来をお話しする」
「講座参加の理由をお話しする」
「それ以外は自由」

まろさんから、そんな決め事が提示されると同時にそれ以上の説明は無く始まる自己紹介。自己紹介とは云っても既にワークだ。限られた時間の中でより多くの参加者と接点を作ろうとする人。或いは呼吸の合った参加者とじっくりゆっくりお話をする人。1対1のコミュニケーションでは飽き足らず3人で自己紹介しあう人。様々だ。参加者によっては「一人当たり20分間の持ち時間なの?」っていう戸惑いがあったり、「これだけいる参加者の中で、一体誰と、どうやって話し出そう」と戸惑ったり。時間終了に伴い着席する際にも、殆どの人が元居た席に自然と戻ろうとする中、他の席に腰を下ろし周辺に戸惑いを生み出したり・・・。

面白い。たった4つの前述の決め事を守ればそれ以外は自由なはず。必ずしも多くの人と接点を持たなくてもいいし、3人でやっても4人でやってもいい。ところが、戸惑いからなのか、自ら新たなルールや秩序をそこに見出そうとし始める。「こんな事やったらいけないのかな?」っていう不安感がそうさせるのだろうか?人によっては、自由度が高いよりも、ある程度のルールや決め事があったほうが安心して行動出来るっていう事もあるのかもしれない。それを逸脱さえしなければ咎められたり、恥をかいちゃう事は無いという安心感なのかな。ワークを通じて、そんな各々の個性を感じ取る事が出来る。さてその最中に参加者の皆さんの心の中にはどんなことが起きていたのでしょうか?

自己紹介後は、本編のワーク。役割に基づいたロールプレイングを行い、それを元に接客をする立場と受ける立場、それぞれの気持ちや在り様を掘り下げていくという試み。そこからきっと何かが見えてくるはず。

「花屋さんの店員と初めてそのお店を訪ねたお客さん」
「車の修理工場のスタッフとそこへ修理に出していたお客さん」
「デパートの店員と、ここで購入したギフト品の苦情を申し出に来たお客さん」

というような状況を設定。始めはまろさんがファシリテーターとして全参加者でワーク。店員役とお客さん役には、お互いに解らないように細かな役どころのカードが渡される。そう、店員とお客さんという関係性は解っているものの、それ以外の情報はお互いに全く知らずにロープレを行う。その場で起こることにほぼアドリブで対応していくわけだ。プレイヤーの二人はもとより、観察している側の参加者にとってもハラハラな展開。結果的には相当イレギュラーな花屋さんになってしまったけど、プレイヤーを買って出てくれた二人には心から敬意と賛辞を送りたい。

ロープレを観察することによって感じられた事をグループに分かれてシェア・模造紙にまとめる。そして全体で振り返り。グループごとでの発表が無いまま全体振り返りを行ったので、各自が整理しきれていない感覚が残ったまま進む。途中、振り返りが深まっていかない事を感じていた参加者の一人、タイヤンの発言によって活性化した場も、全体を通して見ると、起こっていた出来事そのもの(コンテント)を取り上げている時間帯が長く、顧客接点の手法や方法論に話が偏る傾向。グループ振り返りを互いに発表しあう時間があったなら、もう少しプロセス部分に入っていけただろうか・・・という思いが個人的によぎる。とはいえ、いつになく解説的であり、且つ導いていくようなまろさんのファシリテートは、きっと参加者の中により多くの気付きと学びを生み出す事が出来ていることでしょう。

昼食はお弁当。
幕の内弁当 金壱千円也。

遅いお弁当タイムのあとはファシリテーターを交代してせのちゃんによる進行。3人ずつの6グループに分かれて「修理工場とお客さん」、そしてまたグループをシャッフルして「デパート店員とお客さん」の順で、おしてしまった時間を取り戻すかのようにとんとんと時間を区切って進めていく。午前中の展開と違い、小気味良くワークが進んでいく印象。グループの単位が小さい事で一人一人の発言も熱を帯び、参加度も高まっているようだ。その分、各グループで起こっていることが本当に様々で実に興味深い。

これらの午後のワークでも、グループ内のシェア・振り返りが行われた。やはり、そこで起こった出来事そのものを振り返り、「お客様にどのように応対すればいいのか」という手法・方法論や、接客スキル的なことが話し合われているグループが多いように見受けられた。目の前で起こっていたことを整理するだけで終わってしまっては、このワークがもったいない。実際にロープレで起こった出来事の、背景に潜む気持ち、そのように対応した理由、その応対から感じた事、そう感じた理由、というような目に見えない部分で起こっていたことを、もっともっと詳らかにしていったら更に面白く、更に気持ちの中に残るワークになっていったかもしれないね。

ロープレの難しいところとしては、与えられた役回りを超えてというか、果たせずにというか、妙な馴れ合いや予定調和的なシーン演出になってしまう恐れがあることが挙げられる。お互い知っている者同士であっても、初対面同士であっても気を使わないわけがないもの。場合によってはワークの意図するところから少々外れてしまったりね。社会に出て間もない頃のビジネストレーニングで体験したのを思い出すよ。とはいっても全てワークの中でのこと。そこに起きたあらゆる事が我々の気付きのきっかけになっていけばいいんだよね。

接客応対と言うと、どうしても客商売のしかもお客様と直接接点を持つ部門が抱える課題だと捉えられがち。でもそうばかりではない筈。接客は営業部門だけではなく、総務部門・製造部門・開発部門に至るまで、あらゆるセクションにおいて大変重要なマインド。ましてや、接遇となると、ビジネスを超えた全ての人間関係においてとても大切な心のありようだ。その気持ちは人と人とを繋ぐ接着剤であり、そしてまた人間関係の歯車を円滑に回転させていく潤滑油でもあるのだろう。そう考えると自ずと今日のワークの意図するものが見え隠れしてこないかい?理屈の前にまず受け止める。受け入れるのか、賛同出来ないのかはその次の話。相手が心を開くより少し先に、こちらが心を開いていく。リピーター、もっと言うとファン客を獲得し育てていくには、テクニックやスキルの前に必要なマインドがある。お客様と販売員のどちらが上でも下でもなく、上下関係なんか超越して相互に理解し合おうとするその時に強い信頼関係が生まれてくるんじゃないのだろうか。理想は50:50の関係なのかな?

リッツカールトンの思想にあるよね。「紳士淑女をお迎えする我々もまた紳士淑女である」って。

今回の研究会で特筆する事の一つに、オブザーバーからファシリテーターへのフィードバックの時間を設けたと言うことがある。全ワーク終了後、二人のファシリテーターに対して、オブザーバーから今日の内容をフィードバックするのだ。更に試みとして、オブザーバー以外の本日の参加者も、後学のためにそのフィードバックをオブザーブするという措置もなされた。許された時間も残り少なかった事から、広く深い話まではなかなか及ばないものの、こういった時間を設けるのは意義深い事だなぁと感じ入る次第。その後の「食事会&更なる振り返りタ~イム」などに至っては、毎度の事ながら勝手に思いと学びを深めて、一日の充実度に拍車をかけながら更け行く夜に身をゆだねるのだった。






新米ボスのONとOFF!
 とここに書いているのは既に遠い過去のことだなぁと考える新米ボス 
 「今」「この場」で起こっていることにフォーカスするって簡単なようで非常に難しい・・・。
 by Kageyama @ あんしんビジネスサポート株式会社 @ 富士市


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2008年02月24日 Posted bymt-kage at 21:36 │Comments(2)ファシリテーション

この記事へのコメント
あ~、これ行きたかった講座だったのに・・・
宮古島の空の下だったから・・・
Posted by 山ちゃん山ちゃん at 2008年02月24日 22:47
山ちゃん
ふふふ、残念でしたね。
良かったっすよ!
Posted by チームさくら at 2008年02月26日 00:19
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    コメント(2)